ばら売り 2008 7 21

 東証も証券会社も、そして政府も、
「株式投資は金持ち相手の商売」という発想を捨てるべきである。

 最近は、築地の魚市場が観光として人気を集めていると聞きます。
ただし、こういう魚市場は、魚屋や飲食店などプロ相手の商売ですので、
素人、つまり一般の人は、商品を買うことはできません。
 ところが、知人によると、地方の魚市場では、
プロの業者に混じって、一般の人でも、商品を買うことができるというのです。
知人は、「新鮮で、値段が安い」と言っていました。
 しかし、問題点は、
基本的に、魚市場は、プロ相手の商売ですから、
ばら売りはしないということです。
小口で売ることはないのです。
 そういうわけで、「新鮮で安い」と思って買ってきても、
一家四人では量が多くて、食べ残してしまうそうです。
 地方の魚市場では、一般の人が市場に参入はできても、
そういう「見えない参入障壁」があるのです。
 似たような問題が、株式市場でもあります。
株式市場でも、ばら売りはしないのです。
 そういうわけで、トヨタ自動車の株価が安くなったから、
「7株ください」と言っても、そういう注文はできないのです。
100株単位でしか売っていないのです。
(つまり、株主として認めてもらうには、最低でも100株買う必要があります)
 市場関係者は、「なんだ、たった100株か」と思うでしょうが、
もう、そこで庶民感覚から、大きく、ずれています。
 7月18日のトヨタ自動車の株価は、4,650円でしたから、
最低売買単位で注文しても、465,000円となります。
 この金額は、庶民感覚からすれば、大金です。
どうして大金なのか、わからなかった人に解説しましょう。
 子供が小学生ぐらいになれば、手間がかからなくなるので、
専業主婦でも、パートやアルバイトを始めようと考えるでしょう。
時給800円として、子供が小学校から帰ってくるまで働くとなると、
一日3,200円ぐらいの収入でしょうか。
 ところで、トヨタ自動車の株価は、1日で50円から100円程度動きます。
平均を取って、1日75円動くとすると、
株価の評価額は、最低売買単位でも、
75円の100倍ですから、7,500円変動することになります。
 1日のパート収入が3,200円、1日当たりの株価評価額が7,500円程度変動。
これでは、落ち着いて仕事なんかできなくなります。
 私は、何年も前から、
こうした売買単位(単元株)という制度を廃止すべきであると主張してきました。
 しかし、東証も証券会社も、そして政府も、
「株式投資は金持ち相手の商売」という発想を変えていません。
小口の注文では、手間ばかりかかって儲からないという発想でしょう。

















































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